Microsoft Visio は、何十年にもわたって多くの企業で標準の作図ツールでした。組織が Microsoft 365 を使っているなら、おそらくすでにライセンスがあり、みんな使い方を知っていて、ほとんど何にでもステンシルがあります。
それでもエンジニアリングチームは Visio の代替を探します。たいていは、特にアーキテクチャ図のためです。この記事では、その判断を率直に見ていきます。Visio が得意なこと、アーキテクチャ図が Visio に収まらなくなるところ、Archboard が代わりに何をするのか、そして移行プロジェクトなしで大事な図を移す方法です。
要点
- Visio は Microsoft 365 に含まれる汎用の作図スイートです。 組織図、フロアプラン、プロセスマップ、ネットワーク図、クラウドアーキテクチャを描けて、Teams、Excel、Power BI などスイートのほかの製品と深く連携します。
- Archboard は構造化された図のためのホスト型ワークスペースです。 ノードには、Kubernetes の Deployment、C4 の Container、ファイアウォールなど、ノードパックから来る型があり、人と AI エージェントが同じキャンバスをライブで編集します。
- どちらを選ぶかは用途次第です。 Microsoft 365 の中で使うビジネス向けの図なら Visio が合います。エンジニアリングチームが最新に保つアーキテクチャ図なら、たいていは構造化されたワークスペースのほうが合います。
Visio が得意なこと
公平に見ておきましょう。Visio はいくつかのことをとてもうまくこなします。
- すでに手元にある。 軽量な Web アプリである Microsoft 365 の Visio は、Microsoft 365 の法人向けサブスクリプションに含まれています。
- コンテンツの幅広さ。 フローチャート、BPMN、ネットワーク図とラック図、Azure と AWS のアーキテクチャ、UML 図と ER 図、フロアプラン、エンジニアリング図面のテンプレートとステンシルがあります。Plan 2 では、パートナーが作成した 25 万種類以上の図形も使えます。
- データにリンクした図。 Plan 2 では図をデータソースにリンクしたり、データから図を生成したりできます。多くの組織は、この仕組みで組織図やプロセスマップを最新に保っています。
- Microsoft のエコシステム。 Teams や Power BI での図の表示、Excel や PowerPoint での編集、Power Automate へのプロセス図のエクスポートができます。
- なじみやすさ。 エンジニアリング以外にも、すでに使い方を知っている人がたくさんいます。
アーキテクチャ図が Visio に収まらなくなる理由
デスクトップアプリは Windows 専用
Visio のフル機能のデスクトップアプリは Plan 2 に含まれ、Windows で動作します。Microsoft は macOS 向けのデスクトップ版を提供していません。Mac ユーザーは Web 版の Visio を使いますが、作成できる図の種類はデスクトップアプリより少なくなります。Mac や Linux を使う人が多いエンジニアリングチームでは、システムを最もよく知る人ほど、最も機能の限られたエディターを使うことになりがちです。
図はファイルである
Visio の図は、OneDrive や SharePoint などに保存される .vsdx ファイルです。ファイルが OneDrive か SharePoint にあれば共同編集はできますが、全員が同じ種類のアプリを使う必要があります。Web アプリの人とデスクトップアプリの人が同時に編集することはできません。ファイルがメールで送られ、エクスポートされ、wiki に貼り付けられるたびにコピーが増え、設計ドキュメントのスクリーンショットはシステムが変わったその日に古くなります。
図形はアーキテクチャの意味を持たない
AWS のアイコンが付いた箱は、ラベル付きの図形にすぎません。Visio は一部の構造化された図をルールで検証したり、図形にデータを付けたりできますが、誰かが毎回一貫して描かない限り、Service が Deployment にルーティングすることや、データベースがプライベートサブネットにあることを知るものは何もありません。
ライセンスは編集者ごと
執筆時点(2026 年 10 月)で、Plan 1 は月額 $5、Plan 2 は月額 $15(いずれもユーザーあたり、年払い)と表示されています。主にいくつかのアーキテクチャ図が必要なだけのチームにとって、スイートの幅広さにお金を払うのは過剰になりかねません。また Mac ユーザーにとっては、どのみち Web アプリが唯一の選択肢です。
Archboard が代わりにすること
- 型付きノードパック。 Kubernetes、クラウド、C4 モデル、ネットワーク、データ、セキュリティ、BPMN、UML、シーケンス、ER 図など 27 の組み込みパックに加え、フローチャート、マインドマップ、付箋も同じキャンバスで使えます。
- ブラウザーでのライブ編集。 編集権限を持つ全員が、ライブカーソルで同じ図を編集できます。ブラウザーがあれば OS は問いません。
- キャンバス上の AI エージェント。 Claude や Cursor などのエージェントが MCP で接続し、チームと並んで図をライブで編集します。エージェントには代理で作業している人の名前が表示され、その人はエージェントの変更を 1 ステップで元に戻せます。AI エージェントを参照してください。
- ライブリンクは 1 つ。 共有リンクは図の変更に合わせて更新されます。Pro ではドキュメントサイトへの埋め込みも使えます。
- コードから図を作成。 無料のツールで、Terraform、CloudFormation、Kubernetes の YAML、Docker Compose、SQL スキーマ、Mermaid のフローチャートを編集可能な図に変換できます。
- オープンなドキュメント形式。 すべての図は、JSON Schema が公開されたバージョン付きの JSON です。エクスポートしたものをほかのツールでも読めます。
Visio と Archboard の比較
| Visio | Archboard | |
|---|---|---|
| 主な用途 | Microsoft 365 での汎用的なビジネス図と技術図 | 最新の状態を保つ構造化されたアーキテクチャ図とプロセス図 |
| アプリ | Web アプリ。Plan 2 では Windows 用デスクトップアプリ | モダンブラウザーで動く Web アプリ |
| 部品 | 大規模なテンプレートとステンシルのライブラリ | フレームとポートを備えた 27 の型付きノードパック |
| ライブ共同編集 | OneDrive または SharePoint 上のファイルについて、Web アプリ、または Plan 2 のデスクトップアプリで可能 | すべての図で、人と AI エージェントのライブカーソル |
| データやコードから | Plan 2 で図形をデータにリンクし、データから図を作成 | 無料ツールで Terraform、Kubernetes の YAML、Compose、SQL、Mermaid を図に変換 |
| 形式 | .vsdx(ZIP パッケージ内の XML パーツ) |
JSON Schema が公開されたバージョン付き JSON |
| Office との連携 | 深い:Teams、Excel、PowerPoint、Power BI、Power Automate | なし。Archboard はオフィススイートのアドインではありません |
| ホスティング | Microsoft 365 クラウド、デスクトップのファイル | ホスト型 SaaS のみ。セルフホスト版はなし |
| 価格(2026 年 10 月) | Microsoft 365 の法人向けプランに含まれる(Web)。Plan 1 は $5、Plan 2 は $15(ユーザーあたり月額、年払い) | 1 シートは無料。Pro は 1 シートあたり月額 $10 または年額 $96 |
決める前に、各ベンダーの料金ページを確認してください。プランも価格も変わります。
よくある移行例:3 層構成の図
多くのチームには、誰もが知っている Visio の図が 1 枚あります。ユーザー、ロードバランサー、Web 層、アプリ層、データベースを描いたもので、何年も前に作られ、今もファイルを持っている人が編集しています。型付きノードで一度作り直すと、次のようになります。
ダイアグラムの内容
- Users
- www.example.com
- VPC
- Public subnet
- Load balancer
- App subnet
- Web servers ×2
- App servers ×3
- Data subnet
- Database primary
- Read replica
- Object storage
- HTTPS 443
- alias record
- HTTP 80
- REST 8080
- writes, SQL 5432
- reads
- async replication
- HTTPS, files and backups
図の読み方は次のとおりです。
- 入口。 ユーザーは HTTPS でパブリックサブネットのロードバランサーにアクセスします。DNS はドメインをロードバランサーに向けます。
- 層。 Web サーバーとアプリサーバーはプライベートサブネットにあり、別々にスケールします。アプリサーバーはプライマリデータベースに書き込み、レプリカから読み取ることもできます。
- データ。 データベースとその非同期レプリカは専用のサブネットにあります。ファイルとバックアップはオブジェクトストレージに保存します。
- メモ。 決定事項と Runbook の名前を図の横に置いているので、図の出どころであるメールのやり取りがなくても、図だけで説明がつきます。
移行プロジェクトなしで移る方法
Archboard には Visio(.vsdx)のインポート機能がないので、変換ではなく描き直す前提で計画します。
- 今も使われている図を選びます。 wiki や設計ドキュメントに埋め込まれた Visio のエクスポートを探し、参照されているものを残します。それ以外はそのままにしておきます。
- 重要な図を型付きノードで描き直します。 3 層構成やサービスの図なら数分で描けますし、描き直しはずれてきた部分を直すよい機会です。古い図を Visio から SVG か PNG でエクスポートし、作業中は新しい図の横に置いておきます。
- できるところはコードから始めます。 インフラが Terraform や Kubernetes の YAML に、スキーマが SQL にあるなら、手で描く代わりに無料ツールで最初の下書きを生成します。
- 最初のバージョンはエージェントに描かせます。 MCP で接続した AI エージェントに図の内容を説明し、型付きノードを配置させてから、間違っているところを直します。
- スクリーンショットをリンクに置き換えます。 すべてのページからライブの図を参照すれば、最新に保つべきコピーは 1 つだけになります。
何百もの .vsdx ファイルを自動で変換する必要があるなら、その仕事には Visio のインポート機能を持つツールのほうが向いています。より幅広い比較は、エンジニアリングチーム向け Lucidchart 代替ツールと draw.io と Archboard の比較、またはすべての比較を参照してください。
Archboard で作る
- Google または GitHub でサインインし、図を作成します。
- ユーザー用にネットワークパックの インターネット ノードと DNS ノードを追加し、次にネットワークパックの VPC フレームを追加して、その中にパブリック、アプリ、データの 3 つの サブネット フレームを置きます。
- パブリックサブネットにクラウドパックの クラウドロードバランサー を、アプリサブネットに Web 層とアプリ層用のクラウドパックの コンピューティング ノードを 2 つ、データサブネットにプライマリとレプリカ用の マネージドデータベース ノードを 2 つ置きます。
- VPC の外にクラウドパックの オブジェクトストレージ ノードを追加します。
- エッジにプロトコルとポートのラベルを付け、レプリケーションを破線にして、決定事項と Runbook を書いた基本パックの Markdown ブロックを追加します。
この例で使うダイアグラムノードは 13 個で、Free プランの範囲に収まります。
よくある質問
Archboard で Visio のファイルを開けますか?
いいえ。.vsdx のインポート機能はありません。残したい図は描き直してください。コードで定義されたインフラなら、コードを図に変換する無料ツールから始めます。
Archboard は Microsoft 365 の中で使えますか? いいえ。Archboard はホスト型の Web アプリで、オフィススイートのアドインではありません。ライブの図へのリンクを共有したり、Pro ではドキュメントサイトに埋め込んだりできます。
デスクトップアプリはありますか? いいえ。Archboard はどの OS でもブラウザーで動きます。
Archboard は Visio より安いですか? すでに何にお金を払っているかによります。Microsoft 365 の Visio は Microsoft 365 の法人向けプランに含まれており、Visio Plan 1 はユーザーあたり月額 $5 と表示されています。Archboard Free は 1 シートをカバーし、Pro は 1 シートあたり月額 $10 です。必要な図に対して、各プランに何が含まれるかを比べてください。
Visio をすべて置き換えるべきですか? たいていは必要ありません。組織図、フロアプラン、Office 中心のプロセス図には Visio を使い続け、エンジニアリングが最新に保つアーキテクチャ図を移してください。